松井研究室について
感染症、呼吸・循環器系、精神科領域などの新しい医用システムにつながる診断アルゴリズムの提案、診断アルゴリズムを実装したプロトタイプのシステムデザイン、プロトタイプを用いた臨床研究を行っています。
松井研究室 | 東京都立大学 システムデザイン学部 大学院システムデザイン研究科 |
松井研究室について
感染症、呼吸・循環器系、精神科領域などの新しい医用システムにつながる診断アルゴリズムの提案、診断アルゴリズムを実装したプロトタイプのシステムデザイン、プロトタイプを用いた臨床研究を行っています。
ニュース&トピックス
2023/3/8
当研究室が定期的に投稿してきた英国感染症学会誌 (Journal of Infection https://www.journalofinfection.com/) のインパクトファクター(2021年)が38を超えました。以下は当研究室から生まれたJournal of Infectionの論文一覧です。
- Matsui T, et.al. A Pneumonia Screening System based on Parasympathetic Activity Monitoring in Non-contact Way using Compact Radars Beneath the Bed Mattress. J Infect. 2020 PMC7271866.
- Dagdanpurev S, Matsui T. et.al. A novel machine-learning-based infection screening system via 2013-2017 seasonal influenza patients' vital signs as training datasets. J Infect. 2019 PMID: 30797793.
- Sun G, Matsui T, et.al. Field evaluation of an infectious disease/fever screening radar system during the 2017 dengue fever outbreak in Hanoi, Vietnam: a preliminary report. J Infect. 2017 PMID: 29079321.
- Sun G, Matsui T, et.al. Clinical evaluation of the newly developed infectious disease/fever screening radar system using the neural network and fuzzy grouping method for travellers with suspected infectious diseases at Narita International Airport Clinic. J Infect. 2016 PMID: 26416470.
- Sun G, Matsui T, et.al. An infectious disease/fever screening radar system which stratifies higher-risk patients within ten seconds using a neural network and the fuzzy grouping method. J Infect. 2015 PMC7112702.
- Sun G, Matsui T et.al., A novel infection screening method using a neural network and k-means clustering algorithm which can be applied for screening of unknown or unexpected infectious diseases. J Infect. 2012 PMID: 23068449.
- Matsui T, et.al. A novel screening method for influenza patients using a newly developed non-contact screening system. J Infect. 2010 PMC7112665.
2023/3/1
Acta PaediatricaのEditorialで取り上げられた加藤美夕さんの論文
加藤美夕さん(2022年修士修了)の論文『Development of a non-contact 15-second paediatric respiratory rate monitor using microwave radar and its clinical application (レーダーを用いた小児の呼吸数計測), Acta Pediatrica, 2023』がActa PediatricaのEditorial(編集者所見DOI: 10.1111/apa.16645)で大きく取り上げられました。呼吸数はICU入院の3つの判断基準(呼吸数>22回/分, ショック症状(収縮期血圧<100 mmHg), 意識の有無 https://jamanetwork.com/ on 02/01/2023 )のひとつです。Acta Paediatricaはノーベル医学生理学賞の選考委員会があるカロリンスカ医科大学に事務局が置かれる小児科の学術誌です。工学系の学生の論文がActa Pediatrica のEditorialで取り上げられるのは異例なことです。
2023/1/1
松井研究室と共同研究をしている淺井雅人名誉教授(流体力学)が深部体温(脳)の理論的導出に成功
淺井雅人名誉教授と当研究室の共著論文『Theoretical prediction of temperature difference between prefrontal cortex and forehead skin for fever screening』がThermal Science and Engineering Progress(インパクトファクター=4.56)に掲載されました。流体力学の専門家である淺井雅人名誉教授が、顔表面付近の空気の対流と顔からの熱輻射等から理論的に脳(前頭前野)の温度を求め、深部温度計による実測値と一致することを証明した世界で最初の論文です。これによりサーモグラフィーにより求めた顔表面温度と環境温度から、推定ではなく、深部体温(脳前頭前野温度)の実測が可能になりました。
2022/6/22
10秒で無症状コロナ患者の検出に成功
Dr. Unursaikhan Batbayar(当研究室博士課程修了, 現モンゴル国立大学)が開発したハンディータイプの感染症スクリーニングシステムを用い154人の無症状(発熱無し)のコロナ患者と147人の健常者の判別に成功しました(感度90%、特異度91%)。(Unursaikhan B et.al., Front Physiol. 2022)
2021/9/27
当研究室修士課程1年の長谷川拳也君の演題、【汗腺支配の交感神経バーストと抹消皮膚温に着目した腕時計型うつ病スクリーニングシステムの臨床応用】が国立京都国際会館で開催された第117回日本精神神経学会総会(2021年9月19日(日)~21日(火))の【初期研修中の医師・学部学生における発表】において優秀発表賞を受賞しました。
工学系の学生が精神科のメインの学会で受賞するのは極めて稀なことです。
2021/9/9
循環器のトップジャーナル European Heart Journal (インパクトファクター=30)の
症例報告専門誌に【敗血症患者の非接触・自律神経モニター】についてのCase reportが掲載されました。
Otake Y, Kobayashi T, Hakozaki Y, Matsui T. Non-contact heart rate variability monitoring using Doppler radars located beneath bed mattress: a case report. Eur Heart J Case Rep. 2021 Aug 9;5(8):ytab273.
https://doi.org/10.1093/ehjcr/ytab273
2021/4/20
感染症スクリーニングシステム (KAZEKAMO)
顔の表面温度(サーモグラフィー)の他、呼吸数(レーダー)、心拍数(指尖脈波センサーを計測しているので、解熱剤や抗インフルエンザ薬の服用により、平熱になっている感染症患者のスクリーンングが可能
感染症スクリーニングシステム (非接触立位型)
顔の表面温度の他、呼吸数、心拍数を非接触で計測しているので、解熱剤や抗インフルエンザ薬の服用により、平熱になっている感染症患者のスクリーンングが可能
2020/7/31
KONICA MINOLTAと共同開発した肺炎・早期発見システムの論文が英国感染症学会誌 (Journal of Infection, インパクトファクター=4.8)に掲載されました。
2020/3/30
20代のコロナ肺炎感染者が最も多い韓国
日本と比べてPCR検査率が高い韓国の成均館大学校のキムイェジン教授(小児感染症)が、韓国では20代のコロナ肺炎の感染者数が最も多いと教えてくださいました。生活習慣や生活水準が近い日本でも、同様である可能性は否定できません。
Korean Society of Infectious Diseases, et.al J Korean Med Sci. 2020 6:35(1):e112
2020/2/19
【解熱剤を飲んでも10秒で分かる】・携帯型/肺炎スクリーニングシステム
モンゴルでは、肺炎が5歳未満の乳幼児の死亡原因の第2位となっています。当研究室で開発したAI(J Infect 2019)搭載のハンディータイプ肺炎スクリーニングシステムを、2019年にモンゴル・ウランバートル市のバヤンゴル病院に於いて運用し、短時間(10秒間)の小児肺炎スクリーニングの可能性を検討しました(肺炎患者 57名 1–13 才 (M/F=33/24) 健常者 47名 2–14才 (M/F=25/22)。胸部X線写真による医師による肺炎の診断後、肺炎患者は解熱剤を投与されたため、ほとんどの患者は発熱していませんでした。それにもかかわらず、10秒以内に、バイタルサイン(呼吸数、心拍数、体温)の計測とAIを用いた判定を行い、高精度な肺炎のスクリーニング結果が得られました。(感度96.5%, 特異度81.3%)
ハンディータイプ肺炎スクリーニングシステムを用いることにより、57名の肺炎患者の内、呼吸数増加による代償作用で動脈血の酸素飽和度がほぼ正常(SPO2>95%)な29名の肺炎患者も正しく検出されました。
Dagdanpurev S, Abe S, Sun G, Nishimura H, Choimaa L, Hakozaki Y, Matsui T. A
novel machine-learning-based infection screening system via 2013-2017 seasonal influenza patients' vital signs as training datasets. J Infect. 2019
May;78(5):409-421. doi: 10.1016/j.jinf.2019.02.008.
2019/2/19
[伊豆の踊子]に見る100年前のパンデミックの記録
学生さん、東京へ行きなさるのだね。あんたを見込んで頼むのだがね、この婆さんを東京へ連れてってくんねえか。かわいそうな婆さんなんだ。伜が蓮台寺の銀山に働いていたんだがね、今度の流行性感冒てやつで伜も嫁も死んじまったんだ。
[川端康成 伊豆の踊子(新潮文庫) 第7章より引用]
旧制一高の学生だった川端康成が伊豆を旅したのは1918年の秋、日本人の3人に1人ほどがかかり、40万人近くが亡くなったスペイン風邪 (強毒化したA型インフルエンザ(H1N1亜型)) が流行していた頃で、インフルエンザウイルスが発見される15年ほど前のことである。この頃亡くなった人々には倅と嫁といった若者が多かったのと、倅が銀山と言う閉鎖空間で働いていたという記述がリアルで、川端が実際に伊豆で見聞きした事柄と思われる。スペイン風邪と呼ばれるのは、当時スペインは第一次世界大戦に参戦しておらず、情報が統制されていなかった為である。スペイン風邪で亡くなった人は、第一次世界大戦で亡くなった人よりも多いと言われている。
2019/11/29
当研究室で9月に博士号 (工学) を取得したSumiyakhand (右) さんが、母校のNational University of Mongolia (NUM; モンゴル国立大学) から, 首都大在学中に Impact Factorの高い論文 (IF>5) を複数出版した功績を讃えられ、Web of Science 2019を受賞しました。左は共に同賞を受賞したLodoiravsal モンゴル国立大学副学長。
2019/8/19
Frontiers in Bioengineering and Biotechnology (Impact Factor=5.122) に掲載された博士課程3年のSumiyakhandさんの【自律神経応答を用いた指尖光電脈波型・うつ病スクリーニングシステムの開発と臨床応用】の論文が3135 viewsを達成しました。
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fbioe.2018.00064/full
2019/4/1
橋爪絢子助教が法政大学社会学部 メディア社会学科 メディア設計コースに専任講師として転出しました。
2018/12/5 MXテレビ
都政広報番組 東京JOBS『首都大学東京<たった10秒で感染症を検知する 岩上小百合>』 本研究室の基礎的な研究を基に、首都大一期生の岩上小百合さんが創立した[首都大発ベンチャーVitalLab]が紹介されました。
https://www.youtube.com/watch?v=yd_75s5QuwU
2016/4/9
日本学生支援機構第一種奨学金の返還免除についての情報→入学希望の方へ
2016/2/4 テレビ朝日 報道ステーション"にて、成田国際空港クリニックで試験運用されている感染症スクリーニングシステム"Kazekamo"が紹介され、松井がインタビューを受けました→メディア報道
2016/1/30 "TBS EARTH Lab ~次の100年を考える~"で感染症スクリーニングシステム"Kazekamo"が紹介されました→メディア報道
2015/10/1 当研究室の孫光鎬さん(日本学術振興会特別研究員PD)が、電気通信大学情報理工学研究科助教に転出しました。
2015/5/15 公立大学法人首都大学東京公認の大学発ベンチャーとして、Vital Lab株式会社を設立しました→Vital Lab 株式会社
2015/4/24 当研究室の孫光鎬さん(日本学術振興会特別研究員PD)が、China Scholarship Council (中国国家留学基金管理委員会)より、2014 Chinese Government Award for Outstanding Self-Financed Students Abroadを受賞。同委員会から松井岳巳教授にも感謝状が贈られました→首都大学東京のホームページ